社員のモチベーションが低い原因とは?組織で取り組む改善策7選
2026/10/13
社員のモチベーションが低い原因には、人事評価や給与への不満、仕事の目的が見えないこと、成長機会の不足、上司との関係、業務負荷の偏りなどがあります。
これらの問題が生じている場合、社員に積極的な行動を求めたり、社内イベントを増やしたりするだけでは改善につながらない可能性があります。
社員のモチベーションを改善するには、本人の意欲だけに注目せず、仕事の進め方や評価制度、職場環境に問題がないかを確認することが基本です。
特に組織が拡大している企業では、経営者が社員一人ひとりの状況を直接把握することが難しくなります。管理職によって面談や育成の方法が異なり、社員が抱えている不満が組織全体の課題として認識されないこともあります。
この記事では、社員のモチベーションが低下する7つの原因を具体例とともに紹介します。さらに、管理職や人事担当者が実行できる改善策、社員の状態を把握する方法、施策の効果を確認する手順まで解説します。
社員のモチベーションが低い原因を考える前に知っておきたいこと
モチベーションとは、人が目標に向かって行動する際の動機や意欲を指します。
仕事に対するモチベーションには、給与や評価などの外部から得られるものだけでなく、仕事への興味、達成感、成長の実感なども関係します。
例えば、同じ業務を担当していても、顧客の課題を解決することにやりがいを感じる社員もいれば、新しいスキルを身につけることに意欲を持つ社員もいます。
何を働く動機としているかは人によって異なり、同じ社員でも仕事内容や生活環境によって変化することがあります。
モチベーションの低下は個人の問題だけではない
管理職が「最近、部下から改善提案が出なくなった」と感じたとします。
その原因は本人の意欲低下かもしれませんが、提案しても採用されない状態が続いていたり、日常業務に追われて提案を考える時間がなかったりする可能性もあります。
社員の行動を理解するには、本人の考えだけでなく、仕事の条件や組織の運用方法を確認する必要があります。
また、意欲が高くても積極的に発言しない社員はいます。発言の多さや表情だけでモチベーションを判断することは避けるべきです。
モチベーション・従業員満足度・エンゲージメントの違い
これらは関連する概念ですが、同じ意味ではありません。
| 概念 | 主な意味 | 確認する内容の例 |
|---|---|---|
| モチベーション | 仕事に取り組む動機や意欲 | 仕事を進めたい理由、取り組む意欲 |
| 従業員満足度 | 職場や労働条件などへの満足の程度 | 給与、職場環境、福利厚生への満足 |
| 従業員エンゲージメント | 仕事や組織との関係性、貢献意欲など | 仕事への関与、会社への信頼や貢献意識 |
従業員満足度が高いからといって、すべての社員が仕事に積極的であるとは限りません。
また、エンゲージメントを測定するアンケートの結果を、そのまま個人のモチベーションの高さとみなすことも適切ではありません。
社員のモチベーションが低下する7つの原因
社員の意欲が低下する背景には、複数の問題が重なっている場合があります。
以下の7つは、企業が原因を整理するための分類です。統計上の発生頻度が高い順に並べたものではありません。
1. 人事評価や給与への不満がある
努力や成果が評価に反映されていないと感じると、社員は何を目指して働けばよいのか分からなくなることがあります。
例えば、営業成績の高い社員が後輩の育成や重要顧客の対応も任されているにもかかわらず、評価や処遇が変わらないケースです。
また、同じような成果を上げた社員でも、上司によって評価結果が異なる場合があります。
こうした問題の背景には、評価基準の曖昧さや、実際の職務と給与・役職が対応していないことが考えられます。
厚生労働省の「平成30年版 労働経済の分析」でも、人事評価への満足度と仕事へのモチベーションの変化との関係が取り上げられています。
確認すべきなのは、評価結果の高低だけではありません。社員が評価理由を理解できているか、期待される成果や行動が共有されているかも調べます。
2. 仕事の目的や意義が分からない
日々の業務をこなしていても、自分の仕事が何につながっているのか分からない場合があります。
例えば、営業部門から依頼された資料を作成する事務担当者が、資料の利用目的や顧客への影響を知らされていない状態です。
仕事の全体像が見えないと、作業を完了させることだけが目標になりやすくなります。
原因として、経営方針が現場まで共有されていないことや、管理職が業務の目的を説明する機会を設けていないことが考えられます。
確認する際は、社員が担当業務の目的を理解しているか、会社や部署の目標とのつながりを説明できるかを聞いてみます。
ただし、すべての仕事に大きな使命感や特別なやりがいを求める必要はありません。仕事の役割や期待される成果を理解し、納得して取り組める状態を目指します。
3. 成長やキャリアアップの機会が不足している
同じ業務を長期間続けている社員が、今後の成長を実感しにくくなることがあります。
例えば、営業担当者が売上目標を達成していても、より難易度の高い提案や新規事業に関わる機会が与えられない場合です。
一方、専門性を高めたい社員に管理職への昇進だけを提案しても、本人の希望と一致するとは限りません。
育成の仕組みが不足していたり、社員のキャリア希望を把握していなかったりすると、成長機会を適切に提供することが難しくなります。
本人が今後身につけたい能力や、経験してみたい仕事を確認し、現在の業務で実現できる機会がないかを検討します。
4. 上司との信頼関係が築けていない
上司との関係は、社員が安心して相談し、仕事を進めるうえでの環境に影響します。
例えば、業務上の問題を報告した際に強く叱責された経験が続くと、社員が相談を控える場合があります。
反対に、困っていることを相談しても対応されなければ、話しても状況は変わらないと感じるかもしれません。
こうした問題には、管理職の対話方法だけでなく、管理職自身の業務負荷や、会社としてのマネジメント方針が関係していることがあります。
社員に「上司を信頼しているか」と直接尋ねるだけでは、正確な状況を把握できない場合があります。
面談で相談した問題が対応されているか、意見を伝える機会があるかなど、具体的な職場の運用から確認する方法が考えられます。
5. 業務負荷や役割が適切でない
特定の社員に仕事が集中している場合や、役割に対して過大な責任を負っている場合、仕事に前向きに取り組む余裕がなくなることがあります。
例えば、成果を上げている社員に重要案件や新人の指導を任せ続けた結果、本人が残業を重ねながら複数の業務を抱えている状態です。
一方、本人の能力に対して任される仕事が限定され、強みを発揮できないこともあります。
問題の背景には、人員配置や業務分担の偏り、担当者への過度な依存、役割の不明確さなどが考えられます。
担当案件数や残業時間、業務の難易度を確認するとともに、本人がどの業務に負担を感じているかを聞きます。
長時間労働や安全上の問題がある場合は、モチベーション施策よりも、労働環境の是正を優先する必要があります。
6. 裁量権が少なく、主体性を発揮しにくい
社員が仕事の進め方を自分で判断できない環境では、自発的な工夫や改善提案が生まれにくくなる場合があります。
例えば、顧客への対応方法を少し変更するだけでも、すべて上司の承認が必要な職場です。
社員が提案しても判断が進まなければ、改善を考えること自体を控えるようになるかもしれません。
組織側の原因として、権限の範囲が曖昧なことや、失敗を避けるために承認手続きを増やしすぎていることが考えられます。
心理学の自己決定理論でも、自律性、有能感、関係性が人の動機づけに関わる基本的な心理的欲求として扱われています。
ただし、裁量を増やせば誰でも必ず意欲が高まるわけではありません。本人の経験や業務の性質に応じて、任せる範囲と必要な支援を調整することが大切です。
7. 職場環境や人間関係に問題がある
部署内で意見を言いにくかったり、関係者同士の連携が悪かったりすると、仕事の進めにくさにつながります。
例えば、営業部門と制作部門の間で依頼内容が十分に共有されず、納期直前に追加対応が発生するケースです。
こうした状況が繰り返されると、社員は自分の努力だけでは問題を改善できないと感じることがあります。
また、ハラスメントや不適切な言動など、早急な対応を要する問題が隠れている可能性もあります。
職場環境の改善では、個人同士の相性だけに注目せず、情報共有の方法、部門間の責任分担、相談窓口の機能などを確認します。
モチベーションが低い社員に見られる変化と注意点
社員の意欲低下を疑うきっかけとして、日常の行動が変化することがあります。
例えば、次のような状況です。
- 以前より改善提案が少なくなった
- 会議での発言が減った
- 新しい業務への参加を控えるようになった
- 仕事の進め方について相談しなくなった
- チーム内の交流が少なくなった
- 仕事や評価に対する不満を繰り返し話している
ただし、これらの変化だけで「モチベーションが低い」と判断してはいけません。
発言が少ない社員でも、仕事に集中して取り組んでいる場合があります。また、業務量の増加、健康上の事情、家庭の状況などが行動に影響することもあります。
管理職が確認すべきなのは、本人の心理状態を推測することより、実際に困っていることや仕事上の障害がないかという点です。
部下への声かけは原因を決めつけない
例えば、次のような聞き方には注意が必要です。
「最近やる気がないように見えるけど、どうしたの?」
この質問では、上司がすでに意欲の低下を判断しているように伝わる可能性があります。
代わりに、次のように具体的な状況を確認します。
「最近、案件の進め方で困っていることはある?」
「前より忙しそうだけど、仕事の負担はどう?」
部下が問題を話した場合も、すぐに解決策を決めず、何が起きているかを整理します。
社員のモチベーションを把握する5つの方法
組織全体のモチベーションを改善するには、管理職の印象だけでなく、社員の意見や職場の状況を組み合わせて確認することが有効です。
1. 1on1で業務上の悩みや希望を確認する
1on1では、現在の業務負荷、仕事の進めにくさ、評価への納得感、今後の希望などを確認できます。
例えば、次のような質問を使用します。
- 最近の仕事で、うまくいっていることはある?
- 今、一番負担になっている仕事は何?
- 仕事を進めるうえで困っていることはある?
- 今後やってみたい仕事や身につけたいスキルはある?
- 上司や会社から、どんな支援があると助かる?
面談では、回答を無理に引き出す必要はありません。
把握した課題について、上司や会社が対応できることを整理し、次回の面談で状況を確認します。
2. 従業員アンケートで職場環境を把握する
従業員アンケートでは、仕事の目的への理解、評価への納得感、業務負荷、上司からの支援などを確認できます。
例えば、「仕事で期待されている役割が明確である」「業務を進めるために必要な支援を受けられる」といった設問です。
結果を比較する際は、設問や集計方法をできるだけ揃えます。
回答数が少ない部署では、個人が特定されないように集計範囲や自由記述の取り扱いに注意します。
3. エンゲージメントサーベイを活用する
エンゲージメントサーベイでは、仕事や組織との関係性、会社への信頼、貢献意欲などを確認することがあります。
組織単位の傾向を把握する材料になりますが、サーベイの種類によって測定する概念は異なります。
結果が低い部署を見つけても、その理由までは分からないため、必要に応じてヒアリングや業務状況の確認を行います。
4. キャリア面談・評価面談を活用する
キャリア面談では、社員が今後経験したい仕事や伸ばしたい能力を確認します。
評価面談では、評価結果への納得感や期待されている役割への理解を確認できます。
それぞれ目的が異なるため、一度の面談ですべてを把握しようとせず、確認したい内容に応じて使い分けます。
5. 部署別の業務状況と組み合わせて分析する
アンケートの結果だけでなく、残業時間、人員配置、担当案件数、離職状況なども参考になります。
例えば、仕事への満足度が低い部署で残業時間が増えていれば、業務負荷との関係を調べることができます。
ただし、数値の変化だけで因果関係を断定しないことが大切です。
実際の業務内容や社員の意見を確認し、改善が必要な問題を特定します。
社員のモチベーションを改善する7つの施策
改善策は、モチベーション低下の原因に応じて選択します。
評価制度への不満が問題である場合、社内交流イベントを増やしても、評価への疑問が解消するとは限りません。
以下では、7つの原因に対応する改善策を紹介します。
施策1:人事評価の公平性と納得感を高める
対応する原因:人事評価や給与への不満
人事部門は、評価項目と判断基準を整理し、管理職によって解釈が大きく異なっていないかを確認します。
例えば、「主体性がある」という評価項目を設定している場合、具体的にどのような行動を評価するのかを定義します。
「担当業務で発生した課題を整理し、改善案を提案・実行している」など、確認できる行動を基準にします。
評価確定前には、管理職同士で判断根拠を確認する機会を設けます。
本人へのフィードバックでは、評価結果だけでなく、どの成果や行動を評価したのかを説明します。
給与への不満がある場合は、職務や責任と処遇が対応しているかを別途確認します。
改善状況は、評価理由への理解度や、評価基準に関する問い合わせの内容などから確認できます。
施策2:目標と仕事の意義を明確にする
対応する原因:仕事の目的や意義が分からない
管理職は、部署の目標と社員が担当する業務の関係を説明します。
例えば、営業支援の事務担当者であれば、資料の作成期限だけでなく、その資料がどのような顧客対応に使われるのかを共有します。
目標設定では、達成すべき結果と、そのために必要な行動を整理します。
大きすぎる目標や、本人がコントロールできない指標だけを設定すると、進め方が分かりにくくなる場合があります。
目標への理解度や、仕事を進めるうえで優先順位が明確になっているかを面談で確認します。
施策3:成長機会とキャリア形成を支援する
対応する原因:成長・キャリアアップの機会不足
人事部門は、職種や役割ごとに必要な能力を整理します。
管理職は、社員が身につけたいスキルや挑戦したい仕事を確認し、現在の業務で経験できる機会がないかを検討します。
例えば、提案力を伸ばしたい営業社員であれば、難易度の高い商談への同席や、提案資料の作成を任せる方法があります。
新しい業務を任せる際には、期待する成果と支援方法も伝えます。
実施後は、できるようになったことや課題を振り返り、次の育成計画へつなげます。
研修の受講回数だけでなく、学習内容を実務で活用できているかを確認します。
施策4:1on1を通じて社員の状況を把握する
対応する原因:上司との信頼関係や支援の不足
1on1では、部下が話したいテーマを確認し、仕事上の課題や必要な支援について対話します。
例えば、部下が「最近、仕事が進めにくい」と話した場合、すぐに指示を出すのではなく、どの業務で問題が起きているかを聞きます。
相談内容に対して対応が必要な場合は、担当者と期限を決めます。
面談内容をすべて記録する必要はありません。次回確認する事項や、上司が対応する内容など、目的に応じた情報に絞ります。
個人的な相談内容の共有範囲は慎重に判断し、本人への説明やプライバシーへの配慮を前提とします。
改善状況は、面談の実施回数だけでなく、相談された課題への対応状況や本人の納得感などから確認します。
施策5:業務負荷と役割分担を見直す
対応する原因:業務負荷や役割の不適切さ
管理職は、担当案件数、業務の難易度、残業時間などを確認します。
例えば、重要案件が特定の社員に集中している場合、業務分担を見直したり、複数人で対応できるようにしたりする方法があります。
業務を減らせない場合でも、優先順位や納期の調整を検討できます。
人事部門や経営層は、特定の部署で慢性的な人員不足が起きていないかを確認し、必要に応じて人員配置や採用計画を見直します。
改善状況は、残業時間や案件の偏りだけでなく、本人が感じる負担もあわせて確認します。
施策6:社員の裁量権と主体性を高める
対応する原因:裁量権の不足
社員が自分で判断できる業務の範囲を明確にします。
例えば、顧客への提案内容について、一定の条件内であれば担当者が判断できるようにする方法があります。
その際、すべてを本人に任せるのではなく、相談が必要な条件や承認が必要な範囲を決めておきます。
経験の浅い社員であれば、判断の前に上司と選択肢を整理する支援も考えられます。
裁量の範囲を見直した後は、承認待ちの発生状況や、社員が仕事を進めやすくなったかを確認します。
施策7:コミュニケーションと職場環境を改善する
対応する原因:職場環境や人間関係の問題
部署間の連携や情報共有に問題がある場合は、業務の受け渡し方法や責任範囲を整理します。
例えば、営業部門と制作部門の間で案件情報が不足しているなら、依頼時に共有する項目や確認のタイミングを統一します。
社員が改善提案を行った際には、採用の可否だけでなく、検討結果や理由を伝えることも有効です。
ただし、意見を聞くだけで問題が解決するわけではありません。
ハラスメントなどの問題がある場合は、相談体制や対応手順を整え、通常のチームづくりとは分けて対応します。
改善状況は、情報共有の不足による手戻りや、相談された課題への対応状況などから確認します。
組織全体でモチベーション改善を進める6つのステップ
社員数が増えている企業では、特定の管理職による個別対応だけでなく、組織として問題を把握し改善する仕組みが役立ちます。
STEP1:社員の現状を把握する
人事担当者は、既存の従業員アンケートや面談の運用状況、部署ごとの業務負荷などを整理します。
必要に応じてアンケートや管理職へのヒアリングを行い、問題がどの部署で起きているかを確認します。
STEP2:モチベーション低下の原因を分析する
確認できた事実と、原因についての仮説を分けて整理します。
例えば、「特定部署で残業が増えている」は確認できる事実です。
一方、「残業が増えたために社員の意欲が低下した」は検証が必要な仮説です。
社員の意見や業務内容を確認し、複数の要因を検討します。
STEP3:優先して改善する課題を決定する
すべての問題を同時に改善しようとすると、担当者の負担が大きくなります。
課題ごとに、社員への影響、緊急性、発生範囲、改善に必要な工数を比較します。
例えば、過度な長時間労働やハラスメントに関する問題は、通常のモチベーション改善施策とは別に、速やかな対応が必要です。
STEP4:改善施策と担当者を決める
経営者は改善の方針や必要な資源を決めます。
人事部門は評価制度や育成の仕組みなど、全社的な運用を整えます。
管理職は日々の面談や業務分担の見直しを担当します。
それぞれの施策について、実行担当者、期限、確認する指標を明確にします。
STEP5:一部の部署から改善施策を実行する
全社で一度に変更する必要がない施策は、一部の部署で試す方法もあります。
例えば、1on1の進め方を見直す場合、先行する部署で運用上の問題を確認し、必要な修正を行ってから他部署へ展開します。
現場の負担が増えすぎないか、社員が改善内容を理解できているかも確認します。
STEP6:改善状況を検証し、必要に応じて見直す
施策の実施後は、予定どおり運用されているかと、問題が改善しているかを分けて確認します。
例えば、1on1の実施率が上がっても、相談された課題が放置されていれば、面談の運用は見直す必要があります。
数値に変化がない場合は、原因の仮説や施策の進め方を再検討します。
モチベーション改善の効果を確認する方法
改善施策の効果を確認する際は、施策の目的に合った指標を選びます。
ただし、モチベーションは個人の内面的な状態に関わるため、業績や離職率などの数値だけで正確に測定できるものではありません。
従業員サーベイの結果を確認する
アンケートでは、仕事の目的への理解、評価への納得感、上司からの支援、成長機会などについて継続的に確認します。
同じ設問を使用することで、以前との違いを比較しやすくなります。
ただし、アンケートへの回答状況や人員構成の変化によって結果が変わる場合もあります。
施策に直接関係する指標を確認する
改善策によって、確認する指標は異なります。
| 改善施策 | 確認する指標の例 |
|---|---|
| 人事評価制度の見直し | 評価基準への理解度、評価理由への納得感 |
| 目標設定の改善 | 目標への理解度、進捗確認の実施状況 |
| 人材育成 | スキルの習得状況、業務での活用状況 |
| 1on1の改善 | 面談の有用性、相談課題への対応状況 |
| 業務負荷の見直し | 残業時間、担当業務の偏り、本人の負担感 |
| 裁量権の見直し | 承認待ちの件数、判断できる業務の範囲 |
| 職場環境の改善 | 手戻り件数、連携上の問題の改善状況 |
これらはモチベーションそのものを直接測定する指標とは限りません。
実際の業務環境が改善されているかを判断するための材料として活用します。
離職率や業績との関係は慎重に判断する
モチベーション改善施策を実施した後、離職率や業績が変化する場合があります。
しかし、その変化が施策によるものとは限りません。
採用状況、人員構成、顧客の需要、事業環境などの影響も考えられます。
短期間の結果だけで施策の成否を判断せず、複数の指標と現場の状況を組み合わせて確認します。
社員のモチベーション改善で注意すべきこと
社員全員に同じ施策を適用しない
社員が仕事に求めるものは一人ひとり異なります。
成長機会を求める社員もいれば、業務負荷を調整することが優先課題になる社員もいます。
会社として共通の制度を整えながら、本人の希望や状況に応じた支援を検討します。
給与や社内イベントだけで解決しようとしない
給与や待遇は、社員にとって大切な労働条件です。
しかし、評価の不透明さや人間関係、業務負荷などが問題である場合、給与を上げるだけでは解決しないこともあります。
社内イベントも、部署間の交流を促す目的では有効な場合がありますが、根本的な業務上の問題を解決する代わりにはなりません。
管理職だけに改善を任せない
管理職にすべての責任を負わせると、評価、育成、業務管理などの負担が集中することがあります。
人事部門が共通ルールを整え、経営層が必要な意思決定を行うことで、管理職が現場の支援に取り組みやすくなります。
社員の個人情報とプライバシーに配慮する
1on1やアンケートでは、社員の個人的な事情や健康に関わる内容が話題になる場合があります。
情報を収集する目的、記録の範囲、閲覧権限を明確にし、必要性なく詳細な情報を共有しないことが基本です。
また、社員の行動を監視して心理状態を推定するような運用は避けます。
まとめ|社員のモチベーションが低いときは組織の仕組みから確認する
社員のモチベーションが低い原因には、評価や給与への不満、仕事の意義の不明確さ、成長機会の不足、上司との関係、業務負荷、裁量権、職場環境などがあります。
こうした問題は、本人の意欲だけで説明できるものではありません。
特に組織が拡大している企業では、管理職ごとのマネジメントの違いや、情報共有の不足などが関係している場合があります。
自社で改善に取り組む際は、社員の行動を決めつけるのではなく、1on1やアンケート、業務データを通じて実際の問題を確認します。
そのうえで、優先する課題を選び、経営者・人事部門・管理職が役割を分担して改善を進めます。
社員のモチベーションを上げることを一方的に求めるのではなく、社員が自分の能力を発揮し、納得して仕事に取り組める環境を整えることが、組織として取り組むべき基本です。
最初の一歩として、現在の評価制度、業務負荷、1on1の運用状況を確認し、社員が困っている問題を把握することから始めるとよいでしょう。
